アメリカ 砂漠 【小池キヨミチ】

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 写真作家 撮影裏話 − カメラ凍結


2008年2月初めに砂漠撮影のために大砂丘を訪れた時のことです。撮影地であるグレイト・サンド・デューンズ国立公園に到着した時は、前日の雪が解けて砂丘面は湿っている感じで、表情としては激しさがなく、写真撮影をするには「つまらない」情景でした。いつものように指定駐車エリアに到着して車からでると、空を見上げ空気を感じながら、前方に聳え広がる砂丘群を見て耳を澄ませました。心持ち肌に刺さってきそうな冷たい風が顔に当たり、季節の情景の中に引き込もうと誘っているようにも思えました。

何も考えることなく、機材を背負ってともかく歩いてみようと思いました。歩き出すと身体全体が冷え始めますが、しばらくすると身体の内側からエネルギーの燃焼にようる発熱があり燃え上がります。それでも外にむき出しになっている顔にあたる風は冷たく、肌の神経が少し麻痺しているように思えました。しばらく歩くと砂丘の頂上の裏側に煙のように雲が姿を現し、みるみる大きくなりながら砂丘のラインをぼかし始めていることに気づきました。そのうちに頂上が見えなくなり、大きな大群が上から下り降りて攻めてくるかのように、雲が走り寄ってきました。そのうちに周りに小雪が舞い始め、吹雪の中に自分がいるに気づきました。

少し前まで何の変哲もなかった風景が一瞬にして吹雪に包み込まれたのです。みるみる内に周りが真っ白になり始め、足元を走る砂紋もそのラインに沿うようにして雪がつき始めました。私は何を思ったのか、どんどん砂丘の中に入り込んでいき、降りつける雪がまるで出迎えの精霊たちのもてなしのように思いながら撮影を始めさせてもらいました。三脚の上につけてある雲台にカメラを固定してスローシャッターで撮影をしていた時に、ふと白く見えるものが目の角に写り気になり始めました。何なんだろうとカメラから目を離すと、黒塗装の雲台の一部に霜が着いて真っ白になっているではないですか。それは私の吐く息の水分が表面に付着して凍りついたものでした。そして今度は、何気なくカメラの一面に置いた私の指が、くっついてしまいました。顔を近づけた時についていた私の吐息の水分が凍る前に指をつけてしまったようで、指を一緒にして凍ったための出来事でした。この時はさすがに一瞬慌てました。

 そして撮影を続けていると更なる事件が起こりました。私の使っているPENTAX LXというカメラは機械式のカメラなので温度の低下で電池が使えなくなっても1/125秒以上の速さなら撮影ができます。もちろんフィルムは手巻きで、右側上についているレバーを回してフィルムを進めますが、このレバーを回した時になんともいえない指に伝わる感覚がありました。それは噂には聞いていましたが、初めて体験するフィルムが割れる音でした。その時の気温は恐らく氷点下25℃以下。ゆっくりと回してアドバンスできたので、撮影は続行できましたが、いやはやフィルムが割れるとは夢にも思っていませんでした。フィルムそのものの機能に支障はなく撮影そのものには何の問題もなかったことを後日確認しました。

この突然の吹雪は驚いたことに30分ほどで通過し、しばらくするとまだ雪の舞い散る空のあちこちにぼんやりと青空が見えてきました。そして煙が風にながされるようにして低く覆いかぶさっていた雪雲が去り、あたり一面が銀世界に姿を変えていました。しかも積もったばかりの新雪で目を細めないと眩しくて開けていられないようなとんでもない景色が広がっていました。なんという凄さでしょう。寒さに震え、シャッターに乗せてものせていることさえ感じない指を説得しながら、撮影を続けさせてもらいました。

この吹雪がずっと続いていたら遭難していかたもしれないと考えたら、後から鳥肌が発ちました。

 (在米写真作家 小池清通の撮影活動を通して経験した秘話・裏話を紹介)

 

 
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