砂漠 【小池清通】

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 写真とは

   砂漠 【小池清通】
  - 私にとっての写真                * 感じ捉えるものと写真機が写すもの *

  「写真とは、みせるものではなく伝えるもの」


 ご存知のように写真機というツールは視覚的「記録」を残すために発明されました。そのお蔭で故人の姿や今はない昔の建物や昔の人の姿を見ることもできるし、自分や家族の若い頃の姿をみることもできます。文化的・歴史的な情景・風景に関しても、今は面影のない過去のものとなった様々なものをも見ることもできます。

 自然との会話を続けながら写真撮影をしていると感じることがあります。言い方を変えると、写真撮影をするために自然に身を投じていると感じざるを得ないことがあります。それは写真というものが単に光学的にレンズを通して光を撮り入れフィルムを感光させてイメージを焼き付けるという物理的プロセスだけにとどまらないということです。前述のように写真というものは撮影した瞬間の被写体の記録を視覚的に残す役割をもって登場しましたが、それは単にそれだけではないと私は考えているのです。それは撮影者の「気」が入るという考えです。

 カメラのファインダーを覗いて構図を決めシャッターを押す瞬間に無意識に息を一瞬なりとも止める人はどの位いるのでしょう?知らないうちに目(視覚)を通して入ってくるものに気(五感に繋がるもう少し深いところに根付くもの)を入れ込んでいるのではないかと考えることがあります。それは、例えばシロイワヤギの撮影をするために4,300bの標高にある山での撮影時でも私は無意識にやっていることに驚くことがあるからです。シャッターを切るたびに深呼吸をしないと息がついてこないような所でも、撮影となると他のどの状況下でのそれと同様のプロセスを踏んでいるのです。ふと思い起こせばシャッターを押す瞬間にファインダー越しに見えるフレームで囲まれた画像(景色)に念を送っているようにも思えませんか。

 臭いのする写真を見たことがあるでしょうか。風の音が聞こえる写真や水の音が聞こえてきそうなものはどうでしょう。何かが伝わってくる写真の力は大きなものがあります。見ているだけで引きこまれそうな写真や画格の外の見えないはずの、しかしながら想像力を刺激されて見えるように思えるようなものを見たことがありませんか。

 写真には構図というものがあります。写真を教える形には、心理的に安定したバランスの割合を考慮したものがありますし、ともかく足元から遠方までシャープに焦点を合わせたものがいいと教えることもあります。写真の「基礎」と呼ばれる項目の中に入るものですが、実際の撮影にそれらよりも必要なものが感性であると思います。それは被写体が何であれ自然体で接することによって研ぎ澄まされるものです。自然は私たちが知っていると思っている以上に強大であり無限の力を私たちに与えています。何よりも、私たちはその一部でしかないという認識を強く持たなければいけないでしょう。 

 私にとって写真とは撮るものではなく、自然と会話を続けることによって魅せてもらうこと。そして撮らせてもらえるものだと思います。魅せられるようになると自然のレベルにおいて繋がりができると思います。そうすると目の前に驚くほどの喜怒哀楽が見えてきます。皆さんが撮影に行っていいものが撮れなかったと思う時があるとしたら、それはいいものがなかったのではなく、それに気づかなかっただけだと思います。自然は尊敬と畏敬を持って訪れるものを絶対に手ぶらでは返しません。そんな謙虚な気持ちで撮影を続けられることが私にとっては自然との接点を感じられるということです。そしてそれ以上に、自分自身の存在や役割が認識されているという充実感を与えてくれる幸せの瞬間だと思っています。

 「勘」というもの。それは、例えば露出計の数値だけを信じないで補正を加えたり、絞りを1段調整したりする経験が培うもの。撮影地の雲行きを視て移動方向や行程を即座に判断するもの。森の樹木の音を聞きながら野生動物の気配を感じたり、彼らの足跡や糞を見て状況を想像したり、遠吠えをするコヨーテの声を聞いて起こっているであろう一つのストーリーを想像することにも繋がると思います。そして「気」の入った撮影をするというレベルで考えるならば、ひょっとすると頭上の雲が被写体として撮らせてもらいたいものフレームからはずれてくれないかなあと念じることによって実際に動き去っていってくれるくらいのことに繋がっているかもしれません。

 宇宙。それは決して大気圏外に広がるものだけではないと私は思っています。写真を通して捉えさせてもらうものは、写真を通して伝える何かを捉えられると思いつつ、見せるのではなく伝えるという姿勢で今後も撮影を続け写真作家として活動したいと思っています。

 

 
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写真作家 小池清通 コロラド事務所
「自然とつながる時」
Kiyomichi Koike Photography
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