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 写真で伝えるということ

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 写真で伝えるということ

 自然が常に教えてくれているものに気づくことの大切さは、何気なく思えるほど、自然に生活の中に残 されている風習や言葉に含めることによって、先人が後世(現代)に残してくれて いる。風情を感じさせ、心の底とつなげてくれるような表現を含めた俳句や短歌がある。沢に流れる水の音や人為的に作られた獅子脅しの竹の音。森の葉のざわめ き。限られた季節の中で種の保存に生命をかける虫たちの姿に、子どもは気を引き付けられたものである。

 当たり前にあるものが当たり前ではないと感じる心。人間においては、それが 「感謝」という気持ちを育て、存在するものに対する気持ちの成長を促していく。 「物に心が篭る」というのはそういうことにもつながっていると思う。

 大量生産や物流の発展が作り出した大きな腫瘍は、人間の生態系の中の各所に悪循環を引き起こし、それに気づくか気づかないかに関わらず、全体の循環を自然 が与えてくれるものにしない限り、今後も弊害(社会的疾病)を続けることだろう。そして、その中で生きるべき我々も、個々の身体という生態系において 同様の試練を強いられることと思う。現代病と呼ばれるものが、現在の生活スタイルや食材の内容に起因していることは確かである。

 人の目に触れた姿だけではなく、地上に姿を現すまでの生き様を知ることによって、蝉さえも何かを私たちに教えてくれる。冬眠する両生類や爬虫類たちも、 食べ物が豊かになる季節に合わせて卵を産み、全く活動のできない冬のためにエ ネルギーを蓄えることを知っている。多くの樹木が芽を出し実を結ぶ頃、様々な虫が卵から孵り、それらを捕食する鳥や動物たちが、同様に雛を孵し、子どもを産む。それが、生物のサイクルである。

 種の保存と進化というもの。それは、理屈ではなく生きるべきものが本能で知っている大切なものであり、本能を過剰刺激し、「経済」という名の人間本位なシステム を作ることによって他種を滅ぼすような行動を続ける人類には、どのような役割 があるのだろうか。そんな思いに駆られることがある。今年の5月に起きたメキシコ湾のBP海底油田事故が、現在も引き起こしている原油流出は、石油依存社会に問題があるだけではなく、人間社会そのものが営利によって手段を選ばない行動にでてきている表れでもある。

 巨大企業の重役が桁違いの収入を奪い、そのために自然との協調を考えないばかりか、同種人類の仲間たちとも協調せず、株主のために黒字追及に走ることが「勝ち組」だと思いこんでいる。「法人とは社会に貢献する組織である。」という言葉が明治時代にあった。それぞれが誇りを持ち、社会の中の一役割的な位置をしっかりと見据えて貢献していた時代は、いつからか西欧的な弱肉強食に変わり、日本でさえも、営利目的に手段を選ばないような精神状態になってきている。生活スタイルの変化や、食生活の近代化がもたらすものが、予想を超えるような深いところに根付いて我々の精神を蝕んでいることには気づかない。堤防も決壊するまでは、理論が正しいとして設計者が称えられるが、世にはまだまだ我々が知らないことが無限にある。

 自然は常に何かを教えてくれている。水は必ず低いところを求めて流れ、その「通り道」には川が出来、谷ができる。山から流されたものは、海に入り、海 に流れるものがあるから栄える命もある。それぞれが、全ての点でつながっ ているということを認識することが、今の私たちには必要なのではないだろうか。

 写真というものは、そういう「つながり」を教えてくれる大切なものだと思う。

(2010年6月掲載)

 在米日本人写真家: 小池清通 - アメリカ合衆国コロラド州をベースに活動する写真作家
               砂漠写真、砂丘写真を主体に大自然とのまじわり、つながりを写真を通して紹介

 

 
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