日本人写真家 【小池 清通】

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 (園芸療法協議会季刊誌投稿文より)

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 バンラスと共存

 自然が自然たる「力」とは何なのだろうと考えることがある。数年前のある日、それは春の大地がエネルギッシュに感じられ若葉が大きく芽を出して初夏に向かおうと準備を進めていた時期である。天候が崩れ低気圧と寒気団の突然の訪問により、春の「どか雪」となった。湿った雪は雨のように降り続け、太陽の光を力一杯受けようと大きく開いたばかりの葉にしがみつくかのようにつき積もり、固まりとなって木々にのしかかった。そしてその重みに耐えかねて多くの枝が折れた。これも自然の過酷さというのだろうか。そんな思い出がまだ鮮明なまま数年が過ぎた今、当時大きく枝を折られていた木を見ると驚かされてしまう。枝が折れてなくなり、大きく開いていた空間は、いつの間にか新しく伸びた枝で埋め尽くされ若葉が顔を出している。アンバランスにも思えた悲惨で痛々しく見えていた木は、誰に教えられることもなくしっかりとバランスを取り戻し力強く生きているのである。

 樹木たちにとって、あの大雪は災難だったのだろうか。それとも、自然の余計なお節介だったのだろうか。人間の感情で理解しようとするとそんなアプローチになるのかもしれない。枝が折れて形が悪くなったという理由で木を切り、新しい木を植えて見かけ上の人間主体のバランスを整えた人もいたかもしれない。また、不恰好ながら折れた枝を切り落として、木そのものは残していた人もいたであろう。

 天候は地球上のあらゆる動きが引き金となって動き始め、一定の地域で一定の時間に顕著な感情を表すことがある。その「動き」さえも、穏やかに思えるものと同様に自然を潤滑に動かしバランスをとっているのだと私は思う。そのような大昔から営まれてきた変化、変動が現在に至るまでのバランスを保ち、それらの中で生活する生物が適応、順応しながら生きながらえてきているのである。人が物事を考え解釈する時に、主語が「人間(自分たち)」となる場合が多い。「我々」という主語が使われる場合、それは「人間たち」という使われ方が少なくない。息とし栄えるもの全てが、微生物から巨大な動物、樹木や森に至るまで、与えられた環境下でエコサイクル(生態系)の輪の中で共存しているという認識を持つべき時代に来ているのではないだろうか。そして、自然があきらめることなく「我々」に伝えようとしている訓戒を聞き理解し、行動に移る時は今なのだと思うのである。

 微妙なバンラスで保たれている自然。それぞれが、各々の存在の意味を持って存在している。だから我々も我々の存在の意味をしっかりと理解して古代からの当たり前の役割を見つめてはどうだろう。先人の知恵や言葉は文明の利器に頼る以前の自然との会話や協調によって培われてきたものである。

 アンバランスに思われている近年の気象現象は異常気象とか温暖化現象という表現で騒がれている。自然の立場から見てみると騒ぐべきものなのかどうか疑問に思える。人間が崩し形状を変えた地形や、大気中に撒き散らしたものや以前は少量だけあったものが多量な状態になって起こっているアンバランスを、折れた枝で空いてしまったスペースを埋めてバンラスをとるように、地球が調整をしているだけなのだろうと思う。しかしながら、その調整が完了する時に、人類が生き残りえるスペースが残されているのかどうかということだけは我々には分らないだろう。

  大地を削れば水の流れが変わり、風の流れも変わる。土壌の質が変わればバクテリアや虫類が変わり、それに従ってそれらを捕食する虫や鳥、動物も変化していくだろう。人間が古代から恐れ敬ってきた自然に対する畏敬の心は、自分たちはその一部であるという無意識の、それでいて強い認識の元に築かれた感情であろう。そしてそれは自己防衛、生存、主の保存本能と繋がり「協調」して生きることが最善と見なして生きてきた中での一つの感情であろう。文明が進み物事が便利になる一方で、我々は自分たちの置かれている命の位置を忘れかけているような気がしてならない。

 在米日本人写真家: 小池清通 - アメリカ合衆国コロラド州をベースに写真作家活動
                砂漠写真、砂丘写真を主体に大自然とのまじわり、つながりを写真を通して紹介

 

 
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写真作家 小池清通 コロラド事務所
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