砂丘写真 アメリカ 【小池 清通】

砂丘写真 【小池 清通】
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 砂漠の精霊たち

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  「砂漠の精霊たち」 - これは私が次に開催したいと考える写真展(個展)のテーマでもある。それは、私の心の底から感じている「なにか」の存在にある。2009年1月25日(日曜)に、新年の挨拶を兼ねて撮影に出かけた時、−8℃〜−12℃という気温の晴天日であった。広大な砂漠地帯は、砂丘群を西に横たえ、その東にはサングレ・デ・クリスト山脈が厚い雪雲に覆われるようにして頂上付近を隠しながらも麓に降り積もる雪の輝きを見せていた。そして、この日際立って感じた大きな特徴は、とんでもない強風が吹き荒れていたことである。砂漠地帯の風というのは珍しくない。特に夕暮れ時には決まって風が出迎えてくれるが、この日のそれはそんな風を予期していた私にも腰を抜かせるようなものであった。

 いつものように空の様子や表情を見ながら、西に向かって歩き始めようとしたが、向かい風になるために思うように身体が前に進まない。この日は通常撮影機材3台+レンズ6本のほかに600ミリレンズを背負っていたこともあり、風の存在が身体が語りかけているかのように積載機材の重量が重く感じた。機材を含めた私の総体重は100キロを優に越えていたこともあり、足の食い込み具合はよくても風を受けるには絶好の標的になっていたのかもしれない。考えようによっては、私の新年最初の訪問に対して、荒々しい出迎えをしてくれていたのであろう。肩に乗せるようにして担ぐ三脚も、少し角度をずらすと風で横に押しやられ身体全体がそちらに振られる。神経を使いながらできるだけ風にまっすぐ向かえるように進むが、体感気温は二桁の氷点下、そして何よりも強風が巻き上げて飛ばしてくる砂粒が、その通り道に立ちはだかるようにして逆流していく私の身体に容赦なくぶつかってきた。常に前に顔を向けることが出来ない状況下で、前方下の位置を見ながら進むのがやっとであった。

 撮影ポイントを定めようと丘陵地に足を踏み入れると雪とその解けた水分が凍りついた砂面が、風の吹く向きを示すように、普段見られない形状で斜めに突起しているような形であちこちに姿を見せていた。夕暮れが近づくとその風の強さは更に強くなり、尋常なものではなくなった。油断すると身体のバランスを崩して転げかねないほどである。三脚固定しているカメラも揺れるべくして揺れざる負えないほどの強風に耐えながら、撮影をさせてもらう。足元を無数の砂が眼にも留まらぬ速さで駆け抜けていく。足跡は一瞬にして砂に飲まれて消えていく中で、場所によって渦を撒くようにして見え、そして砂面を駆け上がるようにして宙に舞い散る砂たちが、砂漠の精霊のように思えていた。「砂は生きている」という表現があるが、それはまさにそれそのものだった。周りを駆け巡り、渦巻き、また舞い上がる砂の動きや影が生き物のように感じると自分がその場所で、「彼ら」の中に入り込んでいることに気づき、また荒々しいまでも容赦なく包み込むその世界が、なぜか暖かくさえ感じたのが不思議であった。

 非科学的だという人もいるが、私は砂漠での撮影活動の中で「その存在」を強く頻繁に(いや常にと言った方がいいだろう)感じる。この日の撮影が精霊たちの騒がしくも暖かい出迎えであったことに感謝できるものであったのは確かである。凍える足の指先やシャッターボタンにのせても感覚のなくなった指は、決してネガティブで攻撃的なものによる症状ではなく、この季節の自然が出迎えとして与えてくれた思いが感覚としてでたものだと思っている。舞い散る砂の精霊の表情が捉えられ、観る人に感じられる作品が一枚でも撮らせてもらっていたら嬉しいなあと思いながら、翌日にでた筋肉痛を楽しみながら、また次の撮影計画に夢を馳せている自分を客観的にほほえましく思うこの頃である。

 在米日本人写真家: 小池清通 - アメリカ合衆国コロラド州をベースに写真作家活動
                砂漠写真、砂丘写真を主体に大自然とのまじわり、つながりを写真を通して紹介

 

 
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写真作家 小池清通 コロラド事務所
「自然とつながる時」
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