動物写真 【小池キヨミチ】

写真作家 【小池 清通】
 写真への思い
 プロファイル
 分岐点
 コロラドプラトー
 写真とは
 オリジナルプリント
 写真集・書籍
 米国撮影ツアー
 アーカイブ
  撮影裏話
 エッセイ
 大自然に思う
 潜在的な力
 ひとりごと
 展示会・講演会
 連絡先
 リンク
 フロントページ
 ENGLISH PAGE

ひとりごと - 必要なもの

 アメリカ合衆国コロラド州在住 在米写真作家が綴るひとりごとシリーズ [もくじに戻る]


 必要なもの

  7月4日はアメリカ合衆国の独立記念日である。 1776年にイギリスとの関わりにけりをつけ新しい国として西洋諸国の取り決めによって独立したアメリカは、当時の国旗に表示されていたように13州からなる新国家だった。その後に西部開拓時代という時を経て、現在の西海岸地域、ロッキー山脈が縦断する山岳地域、そして穀倉地帯が大きく広がる中部地域へとテリトリー(領域)という名称で拡張しながら州を設立し48州がある。ルイジアナパーチャスなどを経て合衆国としての形を明確にしてきた。最後に付け加えられたアラスカ州とハワイ州が加わって現在の50州が、アメリカを形成している。私の住むコロラド州も最初はカンザス領に含まれていたが、ジェームス・デンバーが監督をしていた1876年に州として設立されている。州都デンバーは彼の名前から命名された。

 様々な人種が、多様な文化や宗教背景を持って移住してできた国ではあるが、いつもこの独立記念日になると思うことがある。それは西洋諸国が侵略して、数万年前から住んでいる先住民たちの存在を無視するかのようにして設立した国であるという点で、この日は国土剥奪を一方的に合法化した日でもある。宇宙船が突然姿を現し各主要都市を攻撃する映画 「独立記念日」(1996年作品:監督 Roland Emmerich)のそれとは違うが、地球上で現在に至る合法的・非合法的、または非人道的侵略行為と根本的になんら変わりのない人間の本質の一つを伺わせている。

 そんな独立記念日に、ニューヨークでは毎年ホットドッグ早食い競争が催される。少し前まで日本の男性がチャンピオンとして連覇していたが、今年は二位に終わったと聞く。優勝者は米国人で10分間に68個のホットドックを平らげたらしい。無理やり押し込むようにして必死に次から次へと口に運んでいる姿は、実に醜い。

 以前聞いた話がある。それは世界各地の食料問題の格差に関する話に付け加えられた統計に関してなのだが、気象的な異常(これは人間が感じる位置におけるもの)によって干ばつや飢饉が起こり飢えて多くの人が亡くなっている事実がある。ところが世界中の食料を集めたならば、現存する全ての人が食べていくに十分な量になるという。流通システムの発達によって食料の生産システムも確立し、遠方の異なる気候の食物が入るようになり、安定した量の食料が供給できるようになった。そして栽培・飼育システムの発達によって、 季節外れの食材も手に入るようになっている。しかし、その文明域に入っていない地方や地域にその恩恵は届いていない事実がある。

 我々が必要としているものは何なのか。不況といわれる経済的な状況の中で、多くの「先進諸国」が苦しんでいる。アメリカでは大手と言われた巨大企業が経営難にあえぎ、地方政府までもが予算欠乏に対応するために人員整理や予算削減による公共事業の縮小を行っている。しかしながら、不況は不運な出来事だとは思わない。なぜなら、それは自然が古の昔から繰り返しているように、物事のバランスをとり続けるプロセスに類似しているからである。必要以上のものを作り、なくても生活できるのに売り込むビジネスがあり、またその税収入で肥満化する行政体制があるのではないか。だとすると、この不況は肥満体が生み出す心臓疾患や糖尿病などの疾病と同様に思えてくる。業績改善のために新規事業を始めるにも、お客様のためとお題目をつけて売り込む商品販促にしても、実際には自分本位の営利欲だけによるものが少なくない。近年のエコ、グリーンブームや少し前まで流行ったローハスブームも、自然、健康志向を利用した営利事業が多い。また非営利団体にも営利目的に事業参加する企業体が少なくない。しかしながら、そのブームの中から、本来あるべき姿を見つけ出し生活改善をする人たちが出てくるという点ではベネフィットがあるとは思う。残念ながら、実際にはそういう自然体で生活を見直そうという人たちは少数派となり、また彼らが情熱的に活動を続ける非営利事業は資金が乏しい。

 必要性という点で疑問が大きいが、私の郷里静岡県の静岡市に最近新空港がオープンしたらしい。日本の鉄道システムは世界に誇れるものがあるし、地理的に東京(成田・羽田空港)と大阪(関西・伊丹空港)の間にある静岡県の静岡市という海と山の間の平野部が限られた場所に空港を作る必要があったのであろうか。ましてや名古屋のセントレアがすでに稼動して大きな役割をもっている。以前他県のある市長が「市のため」ということで数百本の桜を植えたという話を思い出す。植樹を終えた桜職人に「この桜はいつ見頃になるのか。」と聞いたらしい。職人は「20年位したらいい花見ができる力を持つでしょうね。」と微笑んだらしいが、市長は「わしの任期中に咲いてもらわんと困る。」 と叫んで顔を赤くして怒ったらしい。後(将来)のことを考えないで目先だけの営利や名声を求める輩が多い時代なのだろう。

 果たして、68個のホットドッグがあったら何人の人が食べることが出来るだろう。そんな思いをしながら、米粒一つでも拾って生活を続ける人たちと、食べ物を遊びの材用にしたり投げ合って粗末に扱う輩との間に、同じ人間でありながら、かなり大きなギャップを感じている。

(2009年7月)

  在米日本人写真家: 小池清通 - アメリカ合衆国コロラド州をベースに活躍する写真作家
                静岡県浜松市出身 1983年に渡米して以来アメリカ中西部コロラド州に在住

 
ページのトップへ



写真作家 小池清通 コロラド事務所
「自然とつながる時」
Kiyomichi Koike Photography
10167 E. Fair Circle, Englewood, CO 80111-5448 USA
 TEL:720-489-9327 / Fax:720-482-9926 / E-mail: nature@usa-japan.com